「あの、実は僕も、書き終わりました。」
「ええ!?桜ケーキくんも!?」
「うん。」
「え〜、私のも書いて欲しいくらい。」

陽芽さんが、長い髪をかきあげながら言った。

だって、元はと言えば、私達女子は何も悪くなくない!?ちゃんと封筒に書かれている部屋に行ったのに。」

確かにそうだ。僕と真島くんも、何もしていないと言えばしていないが、唯一、封筒を間違えて拾ったことに罪がある。しかし、彼女達は完全に巻き添いだ。

「本当にごめん。僕達のせいで。」
「桜ケーキくんは悪くないよ。私は懸くんに怒ってるんだから!」
「そんな〜、お陽芽、酷い…。」
「そう思うなら、反省することだね!」
「うぅ…。」

あの本田くんを黙らせてしまうのだから、凄い。僕は、本田くんと長年の付き合いなのに、彼を反省させたことは1度も無い。
今回の件に関して、彼は全く反省せず、いつかまた同じ失敗を繰り返すような気がしたが、陽芽さんがいれば、大丈夫なのかもしれない。

「じゃあ、僕も教室に戻るね。」

そう言った瞬間、本田くんが立ち上がった。

「俺も戻る!!」
「は!?懸くんはまだ書き終わってないでしょ!!」

そうだ。先程までほぼ白紙だった本田くんがこんなに早く書き終わるはずがない。

「そ・ れ・が!もう書き終わっちゃったんだよなぁ〜。」

得意気な顔をして、反省文用紙をヒラヒラとさせ、見せびらかしている。
確かに、その紙は、文字がびっしりと埋まっていた。