AIが決めた恋

「湖川さんは、ゴキブリなんかじゃありません。」

気づいたら、そう叫んでいた。

「え?」
「気持ち悪くもないし、ブスでもない。可愛くて、素直で、謙虚で、他人想いで、とても素敵な子です。十分に存在価値がある。」
「は?」
「え、何何?ムキになっちゃってんの?」
「頭大丈夫っスか!?」
「大切な人が傷つけられたんですから、ムキになるのは当たり前です。それに、頭の心配をした方が良いのは、僕ではなく、全く見る目のない、貴方達です。」

今までの人生で、相手に反論をするなどということは、ほとんど無かった。入学当初に、クラスメイトを注意したくらいだ。
相手に何かを言われても、黙って耐えて、ただ時が過ぎるのを待っていた。でも…、今はわけが違う。
僕はいくらでも傷つけられてもいい。慣れているから。でも、湖川さんが傷つけられるのは、許せない。

「な、何だよ。」
「こんな奴に構ってても時間の無駄だ!行くぞ!」
「おう。」

そう言うと、男子生徒達は、走って何処かへ行ってしまった。

「湖川さん…!」

彼女は、泣いていた。
真顔のまま、涙だけが彼女の綺麗な頬を伝っている。
僕は、彼女の手を握って、走り出した。
取り敢えず、人気の少ない場所へいき、彼女を安心させなければ…!