「だからさ〜、中学時代とか、毎日のように告白されて、でも、好きな人はずっといなかったら、全部断って…。それが少しずつ苦痛になったの。」

彼女の言っていることが、何となく分かる気がした。
俺は湖川陽芽ほどモテるわけではないが、告白は何度かされたことがある。確かに、フるのはいつも心が痛い。
そして…、フラれた経験もある。
その事については、あまり思い出したくはない。あの時の自分は、もう全て捨てたのだから。

「それだけなら良かったんだけど、去年の夏くらいかな、告白してきた男子にストーカーされてさ。『誰とも付き合ってないなら、俺と付き合え。』って、何度も何度も言ってきて、本当にしつこかったよ〜!」

顔は笑っているが、きっとそれは作り笑いなのだと感じた。

「だから、手っ取り早く彼氏を作っちゃおうと思ってここに来たわけ。」
「そうだったのか…。」
「やだな〜!そんなに重く受け止めないでよ!広大くんったら真面目なんだね〜!」
「いや、でも──」
「いいの。私は今がとても楽しいからそれでいい。」

不意に、湖川陽芽が真面目な顔をした。しかし、直ぐにまたいつものような笑顔に戻る。

「AIって本当にすごいね!ここまで相性の良い相手を見つけてくれるとは思わなかった。私は、懸くんが好き。私もここに来て良かった。」
「そう。」
「なんかごめんね、こんな話しちゃって!」
「いや、元はと言えば、俺が聞き出したことだから。」
「そうか。確かに。私が謝る必要は無いわけだ。」

妙に納得したような顔で湖川陽芽はそう言った。

「ま、細かいことはさておき、さっさと玩具(おもちゃ)作っちゃお!」
「そうだな。」
「というわけで、早速スタート〜〜!!」

彼女が大きな声で、元気よく言った。
双子とはいえ、やはり、俺のパートナーと湖川陽芽は、全く似ていない。