「でも、2人は相性がなかなか良いと思うよ?」
「どうしてだ?」
「だって、藍は確実に入学前と比べて、変わった。理由は沢山あると思うけど、その1つに広大くんも関わっていると思うよ。」
「そうか?」
「そうだよ!双子の私が言うんだから、間違いない!」

彼女は、もう二度と異性に恋愛感情は抱けないから、手っ取り早く結婚相手を決められるように、この高校に入学したというようなことを言っていた。でも、それだけではないのだと思う。きっと彼女は、男性恐怖症を少しでも克服したいと思っているのではないかと感じる。
だから、もし、彼女が少しずつ変わっていて、その過程に俺が含まれているのなら、嬉しい。

「やっぱり藍はこの高校に来て良かった。」
「そういえば、君はどうしてこの高校に来たんだ?」

俺のパートナーとは違い、男性に対してマイナスの感情を持っているようには見えない。普通の高校でも、十分にやっていけそうなのに。

「ははは。それ皆に言われるんだよねー。やっぱり気になる??」
「まあ。」
「藍や懸くんやももちゃん以外には、適当に誤魔化してるんだけど、広大くんにも教えてあげる!」
「良いのか…?」
「ここで一緒になったのも何かの縁だからね〜。」

誤魔化しているということは、他の人にはあまり言いたくないのかもしれない。佐倉にこの質問をした時にも感じたが、やはり、この手の質問は、控えるべきだ。これからは気をつけよう。

「簡単に言うと、私がこの高校へ入ったのは、男を寄せつけないため!」
「…?どういうことだ?」
「あまり自分の口からは言いたくないんだけど、私、モテるんだよね。」

確かにあまり自分で言うことではないかもしれないが、湖川陽芽の場合は、納得できる。彼女はとてつもなくモテるらしい。
この前、遊園地へ行った時も、お化け屋敷のお化けが出口までついてきてしまったと聞いた。