「ももちゃんは昔から藍のことになると人が変わるからなぁ。蛍くん、大変でしょ?」
「そんなことないですよ。」

初めは僕に人見知りをしていたようで、正直どう関わっていけば良いか分からなかったが、次第に、本当は明るくて少し変わっている子だと理解することができた。
彼女は思いがけないような行動をすることがあるから、見ていてとても面白い。

「そう?ならいいけど。じゃあ、僕はあの3人に合流してくるね。」
「え?男子はお断りだと言っていましたけど…。」
「そうは言っても、藍に何かあったら困るからね!ってことで、またね〜!」

そう言うと、裕さんは、3人の後を追った。
そして僕と真島くんは2人きりになった。

「じゃあ、俺も帰るから。またな。」
「待って。」

僕は去ろうとする真島くんを呼び止めた。

「どうした?」

僕は、真島くんに言わなくてはならないことがある。観覧車に乗った後から、ずっとタイミングを探していた。

「あのさ…、」

本当は、言いたくない。折角真島くんと距離が縮まりそうなのに、僕はその雰囲気を、たった一言で壊してしまうかもしれないのだ。
でも、これはきっと、今言わなければならない。
引き伸ばせば引き伸ばすほど、自分も真島くんも苦しめてしまうと思うから。