「湖川さんが読んでくれたら嬉しいから。」
「そ、そんな。」
「でも、僕が小説を書いていることは、他の人には秘密にしておいて欲しい。」
「秘密?」
「うん。僕と湖川さんだけの、秘密。」
「分かりました。その約束、絶対守ります。」

僕は湖川さんに右手の小指を出した。
指切りをしようかと思ったけれど、湖川さんは、困ったような表情をしている。

「あ、ごめん、つい。」

一瞬だけ、湖川さんと僕がただのクラスメイトだということを忘れていた。
僕は指を下ろそうとした。
その時、小指に温かいものが触れた。

「っ……!!」
「約束…ですね。」

心臓の鼓動が聞こえてしまっていないか、心配になる。
気づかない内に、想いはどんどん大きくなっていたんだ…。
僕は、やっぱりどうしようもなく…、
湖川さんが好きだ。