それから3年間、僕は必死に藍のことを忘れようと努力した。目の前のパートナーに集中して、今まで藍にしてきたように、パートナーに尽くした。
でも、僕はなかなか前に進むことができなかった。
当たり前だよ。本当は10年以上も、藍を想い続けてきたんだから。
しかし、それでも僕は、自分の気持ちに嘘をつくことをやめなかった。
その結果、高校3年生の卒業式の日、僕は遂にパートナーに愛想をつかされた。

「卒業したから、正式に婚約しようよ。」

僕がそう言うと、彼女はゆっくりと首を横に振った。
僕は彼女の為なら何でもしたし、関係性も悪くなかったから、理由が全く分からなかった。

「あれ?もしかして僕、知らない内に嫌われちゃってた??」
「ううん、そんなことないよ。私は湖川くんが好き。初めて会った時は、顔が格好良くて好きだなって思ってたし、関わっていく内に、その優しい性格も好きになっちゃった。」
「だったら、婚約しない?それとも、何か問題があるの??」

明るくそう言ってみたが、やはり彼女は首を横に振った。

「ちゃんと聞いてた?『私も湖川くんが好き。』って言ったんじゃない。『私“は”湖川くんが好き。』って言ったんだよ。」

彼女が何を言おうとしているのか、全く分からなかった。