真島くんは、頭も良くて、運動神経も抜群で、顔も整っていて、身長も高くて、たまに口は悪いけれど、きっと性格も良い。そして何より、湖川さんのパートナーだ。
(ずる)い。真島くんは、皆が羨むものを、全て持っているじゃないか。
彼と話していると、卑屈(ひくつ)(みにく)い自分が、どうしようもなく嫌になる。
本当は、もうとっくに気がついている。でも、知らないふりをして、抑え込んで…。
それももう、そろそろ限界だ。

「僕が藍を好きだとはっきり公言しているのは、過去に自分の気持ちを抑え込んで、後悔したからだよ。」
「後悔…ですか…?」
「うん。蛍くん、僕達はまだお化け屋敷に入ったばかりだ。今なら引き返せる。ちょっと僕の話しを聞いてくれるかな?」

裕さんが回れ右をして、スタート地点へと戻っていく。

「はい。」

僕もそれについて行くことにした。

「僕が藍を好きだと初めて自覚したのはね…、」