「ど、どうしたの…?」
「僕は、高校3年間、一度もここに戻って来なかったことを、今でも後悔している。」
「それは、もういいよ。お兄ちゃんが自分を責めないで。」
お兄ちゃんは、無言で首を横に振った。
「ここに戻ってきた時、全てを失ったかのような無気力な藍を見て、僕はとても辛かった。」
「そんな…。」
「でも、最近はまた明るくなってきたね。」
お兄ちゃんが優しく微笑む。
明るく…。そうなのだろうか。多分私はどちらかというと暗い方だ。昔は明るくてハキハキとしている陽芽のような性格だったけれど、もうその時にはきっと戻れない。
「明るくなったのは、誰のおかげ?」
「えっ…?」
「僕が戻ってきたからというわけではないでしょ。ももちゃんと再会したから?広くんとパートナーになったから?それとも…、蛍くんのおかげ…?」
お兄ちゃんが何を言おうとしているのかよく分からない。高校に入学してから、私はそんなにも変わったのだろうか。
「それは──」
「ごめん!何でもない!」
お兄ちゃんがいつものような笑顔に戻った。
「今の忘れて。」
「えっ…?」
「ほら、外で広くんが待ってるよ!行ってらっしゃい!」
「あ、うん。じゃあ、また今度。」
私はそれだけ言うと、お兄ちゃんの家を出た。
「僕は、高校3年間、一度もここに戻って来なかったことを、今でも後悔している。」
「それは、もういいよ。お兄ちゃんが自分を責めないで。」
お兄ちゃんは、無言で首を横に振った。
「ここに戻ってきた時、全てを失ったかのような無気力な藍を見て、僕はとても辛かった。」
「そんな…。」
「でも、最近はまた明るくなってきたね。」
お兄ちゃんが優しく微笑む。
明るく…。そうなのだろうか。多分私はどちらかというと暗い方だ。昔は明るくてハキハキとしている陽芽のような性格だったけれど、もうその時にはきっと戻れない。
「明るくなったのは、誰のおかげ?」
「えっ…?」
「僕が戻ってきたからというわけではないでしょ。ももちゃんと再会したから?広くんとパートナーになったから?それとも…、蛍くんのおかげ…?」
お兄ちゃんが何を言おうとしているのかよく分からない。高校に入学してから、私はそんなにも変わったのだろうか。
「それは──」
「ごめん!何でもない!」
お兄ちゃんがいつものような笑顔に戻った。
「今の忘れて。」
「えっ…?」
「ほら、外で広くんが待ってるよ!行ってらっしゃい!」
「あ、うん。じゃあ、また今度。」
私はそれだけ言うと、お兄ちゃんの家を出た。

