Kosei Side

天咲がmonochromeのメンバーになってから、1ヶ月。
天咲はもともとポテンシャルが高かったから、みんなの仕事にも少しずつ馴染んでいった。
とはいえ、まだ本敵の前で失敗することは許されないから、まずは簡単な案件を片していく。

「どう?調子は」
天咲「んー、別に嫌じゃないんだけどやっぱりまだ緊張する」
「まあ俺らもやったことないところからのスタートだったからね。
でも現場なんてそんなもんだから。大丈夫だよ」
天咲「うん、頑張る」
「何かあったら、俺らがサポートするから」
天咲「ありがとう光成」

天咲は、俺らが思ってたよりも強くて賢い女の子だった。
お酒もまあまあいける口だから、天咲には主に男の人から情報を聞き出す、そんな役回りを任せた。

情報を収集することは決して簡単なことじゃない。
拓実なんかは、情報を聞き出すためなら何も惜しまないが、
天咲はまだ学生だし女の子だから、そこが心配なところではある。

今は、天咲が情報を手に入れるためにある男と接近しているから、そのあとを追い、同じ店で骨伝導時計を使い盗聴している真っ最中。

〈いやぁ、君は本当に綺麗だね〉
天咲「もう、社長ったら口がお上手ですね」
〈本当だよ。もう君のためなら何でもしてあげたくなっちゃうよ〉
天咲「え、本当ですか…?私男の人にそんなこと言われたの初めて…」

そう言って目を潤ませて上目遣いをする天咲。
…これやられたらたまんねぇだろうな、笑

〈さきさん、本当に可愛らしいお嬢さんだ。
君を満足させるためには何をしたらいい?〉
天咲「実は…私には政略結婚を強いられた婚約者がいて…
私の父の会社と婚約者の会社を合併するためのひとつの条件として取り決められたもので、
私は会社同士の取引の駒として結婚させられるんです…」