橙「それからこれ。つけてみ」

渡されたのは水色のネクタイ。
ネクタイなんてつけたことがないから、結び方が分からない。

橙「おいで」

そう言われて直樹の方に近づくと、私の首にネクタイを通し、結んでくれた。

橙「…できた!おお、やっぱ天咲は水色やな」
「水色、」

これが、私の色。
改めて私が9人の仲間に入れたんだと、実感が湧いてくる。

橙「それからこれ、左足出して」
「足?」

すると、冷たい感触が足首を覆う。

「私のアンクレットだ…」
橙「大事なアンクレットやから、肌身離さずつけとくんやで」
「うん、!」
橙「よし、ほなそのまま帰ろか」
「え、着たまま?」
橙「ええからええから」

そう言って直樹は、おっちゃんありがとー!と元気に店員さんに声をかけ、私を連れ店を出た。
「どこ行くの?」
橙「内緒ー」
「なんやねんそれ」
橙「あ!天咲も関西弁!うつっとるやん!」
「わざとですー!」
橙「エセ関西弁が1番良くないんやで!」

ふははと笑う直樹は、寒いやろ?と上着を貸してくれた。
少しオーバーサイズのミリタリージャケット、
どこかで見覚えがある…。
やっぱり直樹はあの時の…