Kosei Side

大事な話。それは天咲がここに至るまでの経緯。
本当は気安く、天咲と呼んでいいのかも分からない。
でも、今は彼女が少しでも安心できる場所を作ってあげたい。
血塗られた心と頭を必死で回転させて考えた結果だ。
優が彼女の目を見て、ゆっくり話をすすめて行った。

紫「天咲は、お父さんとお母さんの命が狙われていたこと、知ってた?」
天咲「…」

言葉にはしなかったものの、首を少しだけ縦に揺らした。
紫「俺らも、色々あってそのお父さんとお母さんの命を狙う人達を追って、あの日天咲の家に行った。
  そしたら、もう…」

言葉を濁らせ、彼女を覗くと彼女は青ざめたような顔をしていた。

紫「天咲はそのとき、2階で寝ていたんだ。
  何も気づかなかったくらいだろうから、
  何か睡眠薬でも飲まされたんだと思う。
  このままだと天咲の命も危ないと思ったから、
  天咲のことを連れてここに戻ってきた」

あまりにも残酷な話を聞かされて、まだ受け止めきれずにいるんだろう。
紫「こんな話、急にされても信じられないだろうし、
  辛いことだから信じたくないと思う。
  でもこれは…

「天咲、」
黄「おい、!」

話を聞いている天咲の異変にいち早く気づいたのは俺。
どんどん息が荒くなって過呼吸になってしまった。

「落ち着いて、吐くことを意識して」
天咲「はぁはぁ…はぁ、」
「そうそう、上手上手」
天咲「はぁ…はぁ…はぁ…」

背中をさする。すごく小さな肩が震えてる。