「…、!」
赤「ふふ、サプラーイズ」
「…なに、これ」
赤「おもちゃだよ」

健斗は確かにピストルの引き金を引いた。
でも先から出てきたのは弾ではなく、花束だった。

「え、待って待って。これマンガで読んだことある…」
赤「おぉ、天咲も読んだことあった?笑」
「ねぇもう怖かった!健斗のバカー!泣」
赤「よしよし、ごめんね」

そう言って健斗に抱き寄せられる。
大掛かりすぎて腹が立ったから、思いっきりぎゅっと抱きしめ返した。

赤「龍斗がね、腹を割ってぶつかれって」
「追いかけてった時?」
赤「そう、天咲を前にするとどうしても甘やかしちゃうから。
仕事の服に着替えて、ピストルを握ったんだ」
「迫力半端なかったよ」
赤「紫ノ宮のことがあって、天咲が銃口に恐怖を感じてたことは知ってた。
でもこの先、俺たちの仲間になったらこんな場面、嫌という程出くわすよ?」
「…それでもいい。私はあなた達と生きたいの」
赤「天咲は、撃たれる瞬間まで目を瞑らなかったのは偉かったよ」
「目瞑ったら、怒られるんでしょ?」
赤「そう、生きることを諦めたら絶対にダメだよ」
「諦めない。この命は大切にする」
赤「約束ね。はい、これ」

そう言って、健斗は私から身を少しだけ話すと、ピストルから花束を抜いて渡してくれた。

「私のこと、認めてくれるの?」
赤「さっき合格って言ったでしょ?」

危険な目に遭わせたくないけど、天咲の意見は尊重してあげたいしね。
そう言って、また優しく頭を撫でてくれる健斗。
嬉しくて、健斗とお皿を洗ったあの日を思い出して、少し泣きそうになった。