Sora Side

めちゃくちゃな頼み事をした自覚はある。
でも、やっぱり…父の言うように自分に嘘はつきたくない。
ここで我慢して一生をすごしたらきっと、
私は父と母が残してくれたこの命をただ燃やすだけになってしまう。
…そんなのは、絶対に嫌だ。

夕飯は至って普通だった。
少しだけ申し訳ないことをしたと思ったから、
今日は皿洗いを手伝うことにした。

「…健斗、皿洗い手伝う」
赤「ありがとう、でも後で話したいことがあるから、天咲は先お風呂入ってきてくれると嬉しいな」
「…分かった」

お風呂に入り、髪を乾かす。

そして、約束の時間。
リビングに行ってみると、まだ健斗の姿はなかった。

パチッ

電気が消える。

カチャッ

…聞きたくない、聞き覚えのある音がした。
恐る恐る振り返る。

「…、!」

目の前には、黒いスーツを着て、赤いネクタイをした、健斗が立っていた。

銃口を私に向けて。