「…いた」

川沿いの土手。殺風景な場所に悩ましそうな背中がポツン、と座っていた。

赤「龍斗…」
「これ、」

何となく、健斗の好きな缶コーヒーを買ってきた。

赤「ありがとう」
「隣、いい?」
赤「うん、」

そして健斗の隣に座る。
健斗は缶コーヒーを一口含んだ。

赤「天咲の話、ついた?」
「まだ正式に決まったわけじゃないよ」
赤「あとは俺だけってとこ?」
「そう、」

そう言うと、また一口。
俺は続けた。

「なんであんなに拒否したの?」
赤「天咲の覚悟が怒りに変わって、暴走しないか怖いんだよ」
「暴走、」
赤「俺はスナイパーだから、至って冷静でいないといけないはずなのに…1度だけ暴走した。
あの時のこと、覚えてない?」
「…あぁ、あの時」