…本当は、死を覚悟した。
目を瞑ってしまった。そのことを、後で直樹に怒られたっけ。

天咲「…怖かった?」
「二度と向けられたくねぇ」
天咲「そう、だよね」
「怖かったね、天咲も」
天咲「…拓実、」

俺の胸に顔を当て、弱くしがみつく。
こんなに小さい体で、色んなもん背負ってんだもんな。
その半分くらい俺が、一緒に背負ってあげるからという気持ちを込めて、背中をゆっくりとしたリズムでトントンとした。
天咲の左胸にワイヤーのズレた欠片のようなものが微かに当たる。

「天咲ほんとに抱き心地いいな」
天咲「…今は離さないで」
「ふふ、ゆっくり休みな。朝までここいるから」
天咲「ありがとう、おやすみ」

神様、どうか彼女がいい夢見れますように。
翌朝、いつもよりほんの少し寝坊した俺らが同じ部屋から出てきたことに、
優さんと黄野くん以外の6人から大バッシングくらったのは、朝食の時の話。