天咲の小さな肩が震えてる。
高揚した気分を宥めるように、再び話し始めた。

天咲「…みんなと生活して、一緒にご飯食べて、
一緒に話したり、一緒に笑ったりして
みんなとの暮らしが、私の大切なものになった。
でも、1日も忘れたことがない。
…お父さんと、お母さんのこと」

声が微かに緊張を帯びている。
天咲はゆっくりと、あの日の話を始めた。

天咲「2人が殺される前日、私は父からあるマイクロチップが渡された。
お父さんとお母さんの大切なものだから、肌身離さず持っているようにって。
だからペンダントに入れて持っていた。
そして殺された日、寝る前にビタミン剤だと言ってある薬を渡された。
多分睡眠薬が入っていたんだと思う。
途中、誰かが私のペンダントを引っ張っていたから起きたの。
そしたら、知らない男が上に跨ってペンダントを取ろうとしてたから怖くて、力の限り抵抗したのは覚えてる。
…それで次に起きたら、ここに」

ああ、思い出した。
たしか天咲を連れていった部屋の近くに、
若い男が倒れていた気がした。
だとしたら、あの日言ったことをまだ…