そうか、天咲もここに来るまでは普通の女子大生だったんだね。

「いいと思う、休学させちゃった分課題とか手伝うよ」
天咲「ありがとう。お金は親の保険とかで賄えるだろうから、みんなに迷惑はかけないようにする」
「そっか」
天咲「それで、もう1つお願いがあるんだけど。
…1度、家に荷物を取りに行きたくて」

家、というのは天咲の住んでいた家だろう。
親の殺害現場でもある天咲の家は、敵やサツが張ってる可能性があるため、
なかなか出入りが出来なかった。
ほとぼりが冷める時期を伺っていた天咲は、やっぱりただの女子大生より賢い。

「わかった、一旦必要なものを取りに帰ろう。
その代わり条件として、俺と流星と優と龍斗がついて行く。
それでいい?」
天咲「そんな着いてこなくても」
「優と龍斗にはそとで待機していてもらう」
天咲「…わかった、ありがとう」

こうして、明日の明け方に天咲の家へ帰ることにした。
人選に桃田と直樹を入れなかったのは、もちろんわざとだ。
俺の提案を聞いて、少しホッとした表情を見せる天咲。

「天咲は、心理学を専攻してたんだっけ?」
天咲「そう。親は2人とも薬剤師だったんだけど、
私の夢はカウンセラーになることだったから」
「そうだったんだね」
天咲「だから、光成も悩みがあったら親がカウンセリングするので、いつでも言ってください」

そう言って、敬礼してみせる天咲。

「ふふ、了解です笑
じゃあ、早速相談なんですが…」
天咲「お?なになに?」
「…最近、奇妙なことが続いていて、嫌な予感がしてならないんだ。
それで気がついたら、仲間を疑っている自分がいて…
そんな自分が嫌でしょうがないんだけど、
疑う癖はもう治らないのかな?」

俺の話を、最初は少し驚いたように聞いていたけど、
次第に天咲は優しい顔をして最後まで話を聞いてくれていた。