それから数日後のこと。
《すみません、紫ノ宮さんという方いらっしゃいますか?》
『あぁ、俺だけど』
少し目の奥が凍ったような顔つきの青年が、何故か大きなダンボールを荷台に乗せて運んできた。
『…お届け物か、何か?』
《いえ、違います。桃田という人に、ここに来ればいいようにしてくれるって言われて》
『いいようにって?』
《これを、処理してくれるって》
そう言って、ダンボールを顎でさした。
大きさや重さから考えるにきっと彼は、桃田が前に紹介したいと言っていた子で合ってるだろう。
『ほう、なるほどね。君が例の紹介された子か』
《黒沢と言います。これ、お願いします。面倒くさくて》
『もしかしてなんだけど、最近事件が多発してるのってさ…』
《あぁ、確かに見つかっちゃったやつも何個かありますね》
『隠す気すらあんまりないでしょ?』
こいつも、なかなかの逸材だなぁと思いつつも、スーツケースの中を開いて確認すると…
『…っ、』
《これ、お願いしていいですか?》
『その前に、何個か聞いていい?』
《…どうぞ?》
『この子と、どういう関係だったの?』
《あー、この子は同期です、俺の。正義感が強くて、あの死体放棄事件の犯人も一生懸命追ってましたね》
ま、それ俺なんだけどって、光のない目でふふっと笑う。
『…お前、刑事なの?』
《まあ、そういうことになりますね》
『…狂ってんな』
《あなたも、人のこと言えないですよ》
その光のない目で俺を見つめるこの男。
こいつが持ってきた絞殺死体、それは紛れもなく…数日前に笑っていた彼女だった。
『もう一個だけ、教えて』
《なんですか?》
『この子のこと、どういう思いで殺したの?』
《どういう思い?んー…》


