Sora Side

ふう、とため息をひとつつく。
念願のターゲットだとしても、この手で人を殺めたのは今日が初めてだった。
緊張するものだな、そして体力も使う。
これを、毎回毎回しているあの9人はやはりすごい。

[君も始末屋やったとはね?]
「黙っててごめんなさい」
[せやから、あんなに演技も上手やったんやなぁ]
「私は普段、人を騙して情報を収集するのが仕事なの」
[ふぅん、可愛らしいから君も仲間やって疑わんかったわ]
「ふふ、お世辞が上手ね」
[お世辞とちゃうよ?]
「そう?笑 嬉しい、
あ、巻き込んでごめんなさい。
あなたを危険な目に遭わせたくなかったし、
あなたからターゲット奪うような形になってしまって、本当にごめんなさい」
[それであのメモを?]
「…うん。
吸わないタバコをわざわざ持ってきてカモフラージュしてくれるような優しい人に、
人なんか殺して欲しくなかったの」
[……ほんまは、そんな勇気無かってんな。俺]
「え?」
[君はすごいで?わずか3ヶ月ちょっとで始末屋になって復讐屋なんて。
俺なんて、何年経っても…後ちょっとやのに勇気がでぇへんかった………]

悔しそうに、下を向く彼にあるものを差し出す。
「はい」
[何?これ]
「社長が探してたチップ。あなたがこの会社の社長になって、この会社を変えて」
[…え?]
「それがあなたの復讐。私はあいつの命を奪った。あなたはあいつから地位と名誉を奪えばいい。
それが、あいつにとっての1番の復讐になるはず」

そう言うと、チップを受け取り彼がはにかむ。