私を力強く抱きしめる。香水の匂いが鼻を刺す。
気持ち悪い。
今すぐにでも突き飛ばしてボコボコにしたいのに…。

《さあこっちへおいで》

そう言うと、彼は私をベッドへ下ろした。
そして自分の胸ポケットから透明の液体が入った小さなボトルを取り出す。

《これを飲んだら、とっても楽しくなれる薬だよ?さぁ、飲んで》
「…これは、」

楽しくなれる薬、
所詮麻薬。

彼は私の上に跨り、顎を抑えて口の中にそれを注ごうとする。
そんなもの飲んだら、私は本当にこの人の…。

「…嫌、です。はなして、!」
《痛くはしないと言っただろ?気持ちいいだけだよ?》

あぁ、あの時と一緒だ。客船の時の。
あの時は直樹が助けてくれた。
みんなは今、何をしてるんだろう____。

《もしこれ以上抵抗するならお前の両親が作り出したあの劇薬を打つぞ?
苦しいぞ?呼吸が出来なくなって、体が引き裂かれるような激痛が走って。
それと麻薬なら、お嬢ちゃんはどちらを選ぶ?》
「私は………」

その時、