Sora Side

それなら、松井の秘書と名乗る若い男が私の監視を四六時中していた。
そんなに強そうには思えないが、目がキリッとしていて全て見透かされている気分になる。

男は交代無しで、私のことを見張っていた。
3日が経ったある日、耐えきれずに聞いた。

「…監視役、あなたしか出来ないの?」
[松井さんの秘書は俺しかおらんからな]
「他の人に頼むとか、出来ないの?」
[ふふ、俺そんなに嫌われてんの?]
「嫌…、こんなこと言うの変かもだけど。
ずっと見張っててしんどくない…?」
[しんどいで?でもその前に自分の身の上心配しいや笑]

声は優しくて、直樹と同じ関西弁を使っている。

「…余計なこと言ってごめんなさい」
[ええよ、ちょっとタバコ吸ってもええ?]

どうぞ、と答える前に部屋にある松井のものらしき灰皿を秘書の前に置いた。

すると、胸ポケットから出したのは煙草ではなくメモ帳。
読んで、と目で訴えられたのでメモに目をやる。