それは流星と牛乳を買った帰り道。

「やめ、んー!んー!!!」
黄「おい、お前らやめドン……オホッ」

私は何者かに拉致された。
猿轡をつけられた後、スタンガンを当てられ私は気絶した。
そして再び目を覚ますと、暗い部屋。
手を椅子の後ろで拘束された状態で座らされていた。

目の前には、知らない男。

《初めまして、君が天咲ちゃんだね》
「…誰?」
《おっと、これは失礼。
私はプロープル社代表取締役社長の松井です。よろしく》

そう言って、右の口角をぐっとあげて見せたこの男。
きっと、こいつが両親殺しの犯人だと目を見てわかった。

「私も殺すの?」
《ふははは!お嬢ちゃん、気が早いよ。
もっと楽しもう?》

そう言うと、私に近づいてくる。
来ないで、気持ち悪い。
頭の中で逃げろという指示が出されているのに、体は拘束されて動けない。
男が私の顎を掬う。

《君の顔は実に美しいね。
お父さんとお母さんに感謝だね》
「…なんであなたにそんなこと言われなきゃなんないの」
《君の命だけは保証するという話だよ。
君は俺のペットとしてずっとここで生活できるんだよ、光栄だと思わないか!》

何が光栄だと、声が出そうになった。
でもここは、犯人を逆撫でしたくはない。

「…わかってる。本当の狙いは私じゃなくて、私の持ってるチップなんでしょ?
私のことなんて、そのチップがあなたの手に渡ったらもう用済みなんでしょ…?」