Sora Side

数年の眠りから覚めたかのような、
重い体を起き上がらせてまだ半分しか開かない瞼を擦ってみる。
あいにく化粧などはしておらず、
本当に寝起きのようだ。
ただ、いつもの寝起きと異なることは2つ。
ひとつは、部屋がまだ暗いということ。
そしてもうひとつは、ここが、知らない部屋だということ。

白と黒しか存在しないこの部屋は、
ここはどこなのかということはおろか、
今が何時なのか、昼なのか夜なのかすら分からない。
…暗くて、怖い。

何故ここに連れてこられたのかは分からない。
私はこの後どうなってしまうのか。
何故ここに来たのか。
頭がぼーっとして思考が回らない。

…殺される、そんな危機感さえ覚えた。
でも、体が痺れる感覚のまま上手く動けずに、
寝かされたベッドの上に起き上がることが精一杯だった。

(…あの子はまだ寝てるのか?)
(おい、寝てたとしてもお前の声で起きるだろ)
(これからどうすんだよ)
(……とりあえず、一旦戻ろ)

誰かの話し声がする。
あの会話のあの子、とは多分私の事。
でも、眠気が再び私を襲って
せっかく起き上がったベッドに横たわったところで、
記憶が途切れた。

次に目が覚めた時には、
スーツを着た男が1人、
部屋に腰掛けていた。