あたしを撫でる、君の手が好き。


言われてみれば。

富谷くんって、あたしが警戒心を持つ隙もないくらいにグイグイと懐に入り込んでくる感じだし。

写真を撮ったのも、IDの交換もすごく自然な流れで済んでしまって。ほとんど富谷くんのことを意識しなかったし、あまりドキドキもしなかった。

どちらかと言うと、こうしてあっくんが隣に立っているときのほうが……

中断してしまった写真を撮りたくて、あっくんの顔をチラリと見る。

だけどあっくんはなんだかいつもより冷たい目をしていて。目が合うと、ふいっと無言で顔を逸らされてしまった。

気分が削がれてしまったのか、あっくんがあたしから距離を取る。

そのままふらりと立ち去ってしまいそうな気がして、あたしは慌ててあっくんの体操着の裾をつかんだ。


「待って、あっくん。写真……」

妙に素っ気ないあっくんに遠慮がちに声をかける。