あたしを撫でる、君の手が好き。



「じゃぁ、俺そろそろ備品運びに行くから。シロは?」

「あたしは着替えに行く途中で……」

更衣室のほうを指差しかけて、ふとある考えが頭に思い浮かんだ。


「ねぇ、あっくん。着替える前に、一緒に写真撮っていい?高校生になって初めての、体育祭記念」

あたしがジャージのポケットからスマホを出すと、あっくんが不思議そうにひとつ瞬きをした。


「いいけど。シロがそんなこと言うとか、めずらし」

うつむいて笑ったあっくんが、髪を軽く整えながらあたしのほうに距離を詰めてくる。

あっくんの右腕があたしの左腕に少しあたって、それだけのことであたしの心臓がきゅーっと縮まった。

ドキドキしながら、あっくんに乱された髪を、スマホカメラの自撮り画面で確認して整える。

そうしてスマホを持ち上げようとしたとき、手の中でそれがブブッと震えた。