あたしを撫でる、君の手が好き。


「そういや、応援合戦お疲れ」

「あ、うん。見てくれてたんだ?」

「いちおう、同じチームだしな。シロが他のみんなからワンテンポ遅れて踊ってるとこ見て笑ってやろうと思ったのに。意外にちゃんとできてたから、笑い損ねた」

あっくんが、ククッと笑ってあたしのことを揶揄う。


「あ、ひどい」

「シロのわりには上出来だったと思うよ」

むっとしてそっぽ向くと、あっくんがあたしの頭に手をのせてくしゃりと撫でてきた。

意地悪な言葉とは裏腹な優しい仕草にきゅんとして、視線をあげる。


「頑張ったご褒美な」

あっくんはニヤリと笑うと、もう片方の手もあたしの頭の上にのせて、両手で髪をぐしゃぐしゃとした。


「やめてよ。これじゃ、ただの嫌がらせ……」

ぶつぶつと文句を言いつつも、あっくんに触られること自体は心地良いから嫌じゃない。

それに、ずっと徳永さんとべったりだったあっくんが、いつもどおりにあたしを撫でてくれることにほっとしていた。