あたしを撫でる、君の手が好き。


小学校からの帰り道、クラスのやんちゃな男子たちに追いかけられて転んだことがあった。

あたしが泣いていると、あっくんが手を差し伸べて助けてくれた。

「るみ、立てる?」

あっくんが転んだあたしに気付いてくれたことも、心配そうに駆け寄ってきてくれたことも嬉しくて。擦りむいた膝の痛みも、涙も治まる。

ほっとしてあっくんの手のひらに手を重ねたら、追いかけてきていた男子達があたし達のことを笑って、からかってきた。

具体的に何を言われたかはあまり覚えていないけれど、「亜聡は白山のことが好きなんだろー」とか「ここでちゅーしろよ」とか。そういう類のしょーもないからかいの言葉だったように思う。

それらのからかいの言葉はきっと、親切心であたしを助けてくれたあっくんにとって屈辱だったんだろう。