あたしを撫でる、君の手が好き。


富谷くんに笑いかけられて、あたしはなんだか申し訳ない気持ちになった。

富谷くんは、泣きそうになりながら廊下を走っていたあたしのことや、あっくんに連れ去られたあとのことをずっと心配してくれていたんだ……

2日前の放課後。富谷くんの目の前からあたしを連れ去ったあっくんは、ものすごく不機嫌そうだったけど……実際には無人の化学準備室に連れ込まれて、緊迫するどころか甘い雰囲気になっちゃったし。

あのときあっくんが普段よりもちょっと強引な態度に出てくれたのは、富谷くんが泣いているあたしを引き止めたせいかもしれないし。

もしそうだとしたら、あたしとあっくんの気持ちが通じ合えたのは富谷くんのおかげなのに。

あっくんのことで頭がいっぱいになって、富谷くんへの気遣いが欠けていた。


「ごめんね。あたし、ちゃんと返信もしてなかったよね……」

本当に申し訳なくなって眉尻をさげると、富谷くんが慌てて胸の前で手を横に振った。