あたしを撫でる、君の手が好き。





「シロちゃん、おはよう」

電車を降りて学校に向かって歩いていると、後ろから走り寄ってきた富谷くんに声をかけられた。


「あ、おはよう」

振り向いて笑いかけると、富谷くんがきょろきょろとあたりを見回してから口元に手をあてた。


「今日、亜聡は一緒じゃないよね?」

「え、うん」

富谷くんにこそっと小さな声で訊ねられて、一瞬ドキッとする。

それって、どういう意味だろう。

別に秘密にしたいとかではないけど、昨日の今日であたしとあっくんが付き合いだしたことがバレちゃったのかな。

質問の意図を図りかねていると、富谷くんがほっと安堵するように息を吐いた。


「それならよかった」

「なにが?」

「だって、ここんとこずっと、俺がシロちゃんに話しかけようとするたびに亜聡が割り込んでくるから。席だって前後なのに、全然話せないよね」

「そういえば、昨日はずっと話しかけようとしてくれてたよね」

不満げな表情を浮かべる富谷くんに、苦笑いを返す。