あたしを撫でる、君の手が好き。


「そんなこと言ってたら、頭撫でるだけじゃすまなくなるけど」

あたしを見据えてつぶやいたあっくんの耳たぶが、心なしか赤いような気がした。


「るみ」

「は……、はい」

あっくんからはっきりと名前で呼ばれたのは、ものすごくひさしぶりのことで。彼の口から零れたその名前が、一瞬他人のものみたいに聞こえてしまって。反応が遅れた。

ビクッと背筋を伸ばしたあたしを見て、あっくんが揶揄うようにククッと笑う。

悪戯っ子みたいなあっくんの笑顔を見ていたら、名前で呼ばれた自覚が遅れてジワジワと湧いてきて。頬がものすごく熱く火照った。


「るみ、口開けて」

あたしの頬に手をあてたあっくんが、意地悪く口角を引き上げて少し距離を詰めてくる。

何か企んでいるようなあっくんを遠ざけるように身を引いたけど、すぐに背中がスチールの板にぶつかって。教卓がガタンと揺れた。

そのまま床に尻もちをついたあたしを見て、あっくんが笑う。