「へぇ、そーなんだ」
言葉をなくしたあたしの耳に、富谷くんの声が届く。
友達の前ではっきりと『ペットみたいなもん』なんて宣言されたってことは、つまり。あたしがあっくんの恋愛対象にはなり得ない、という事実を突きつけられたってことだ。
あっくんがまた、あたしの髪をくしゃりと撫でる。
ただそこにあるから、撫でてみた。そんなあっくんの触れ方に、やっぱりドキドキしてしまうのがすごく悔しい。
いつからだっけ。あっくんがあたしのことをペットの犬でも呼ぶみたいに「シロ」って呼び始めたのは。
昔のあっくんはあたしにすごく優しくて。
白山るみの「シロ」のほうじゃなくて、ちゃんと名前で「るみ」って呼んでくれてた。
あっくんの横で悲しい気持ちでうつむいたあたしは、ふと小学生の頃のときのことを思い出した。
そうだ。あっくんがあたしのことを「シロ」って呼び出したのは、小4のときだった。



