あたしを撫でる、君の手が好き。


ぱんっと焦ってあっくんの手を跳ね除けたら、「痛っ」と小さくつぶやいたあっくんに不快げな顔をされてしまった。


「亜聡と白山さんて幼なじみなんだっけ?仲良さそうだけど、ふたりって付き合ってんの?」

あたし達のことをじっと見ていた富谷くんが、真顔でそう訊ねてくる。

揶揄われているわけでも冷やかされているわけでもない。富谷くんの直球の質問に、あたしの心臓がドクドク鳴った。


「ち、ちが……」

付き合ってはいないけど、あたしはあっくんが好きなわけで。完全否定することで、あっくんの恋愛対象から外れたくはない。

だけど複雑な気持ちで吃ってしまうあたしとは違って、あっくんの答えはきっぱり、はっきりとしていた。


「ちげーよ。シロは俺のペットみたいなもん」

少しの澱みもないあっくんの言葉に、富谷くんや他の男子達が即座に反応できずにシンとなる。

ペット……そっか。今もなお、あっくんの中でのあたしの位置付けはそこから変わっていないんだよね。