カバンを両腕でぎゅっと抱きしめると、持ち手に付けていたクマのキーホルダーが手に触れた。
それが、理不尽だと感じる気持ちに拍車をかける。
「あっくん、ずるいよ」
「何が?」
「これ」
キーホルダーのクマを一度強く握りしめたあとに、カバンから外す。それを黙って突き付けたら、あっくんが怪訝な顔をした。
「返すね」
あっくんの手に無理やりクマのキーホルダーをねじ込む。
すると、クマの顔が変形するくらいに強く握りしめたあっくんが、むっとした顔であたしを見下ろした。
「なんで?」
キーホルダーを突き返した理由にも気付かずに、あたしを責めるような目をするなんて。やっぱり、理不尽だ。
「なんでかは、考えたらすぐにわかるはずだよ。あっくん、昨日、徳永さんにも同じものをゲーセンで取ってあげたんでしょ?」
「取ってないけど」
「嘘吐き。さっき徳永さんがそれと似てるキーホルダー見せながら言ってたじゃん。『昨日、ありがとう』って」
ジッと睨むと、あっくんが何か考え込むように黙り込んだ。
それからしばらく間を空けたあとに、額に片手をつけて「あぁ」と息を吐く。



