あたしを撫でる、君の手が好き。


「い、って。何すんだよ、いきなり」

不満げな表情を浮かべる富谷くんを、あっくんが無言で押し退ける。


「シロ、お前は帰れよ」

あたしの前に立ちはだかったあっくんが、低い声で冷たくそう言った。


「何言ってんだよ、亜聡。俺、シロちゃんと一緒にカラオケしたい」

あっくんの肩を後ろからつかんた富谷くんが、不満げに抗議する。


「ムリ。ここ、ペット入れねーもん」

あっくんは、顎でクイっとカラオケの入口を指し示すと、富谷くんのことを一瞬黙らせた。

あっくんの仕草に、その場にいた全員の視線が入口の注意書きに集まる。

そこにある注意書きのひとつが、犬のイラストの上に赤で描かれたバツ印。あっくんが言ったとおり「ペットの入店不可」と文字でも明記されている。

それに気付いて、一番最初にクスクスと笑い始めたのは徳永さん。それに続くように、他の女子メンバーもクスクスと口元を押さえて笑い始める。