あたしを撫でる、君の手が好き。


「だって、シロちゃん。行こ行こ」

あっくんの言葉を勝手にポジティブに解釈した富谷くんが、あたしの手を引っ張る。

それを無言で見つめる徳永さん達女子メンバーの目はひどく冷めていて。あたしはものすごく居心地が悪かった。

富谷くんが誘ってくれる気持ちはありがたいけど、このまま一緒に入店したって200%楽しめない。


「富谷、あたし達はやっぱり……」
「富谷くん、あの……」

誘いを断わろうとするあたしと桃佳の声が被さる。


「あ、ちょっと待って」

そこへ、急にあっくんの声が重なった。

立ち止まって入り口の注意書きをじっと見たあっくんが、ニヤリと笑ってあたしを振り返る。


「ここ、ペット同伴不可だわ」

「何だよ、急に」

怪訝な表情を浮かべている富谷くんとあたしに、あっくんが一歩近付いてくる。

それから意地悪な笑みを浮かべると、手が繋がったままの富谷くんとあたしの腕をそれぞれつかんて、思いきり引き離した。