俯向いた紗夏はそのまま歩き出していた。 俺に遠慮がちに近付いて来てくれていた。 その姿を見た俺は無意識に声をかけていた。 「また誰かに見られても俺は気にしないけど紗夏は見られたくない? 嫌なら自転車で送るよ?」 自転車だとほんの数分で着いてしまう紗夏の家。 話しながら帰るにしては短か過ぎる時間。 それでも紗夏が気にして拒否されるより、数分でもいいから一緒にいる時間が欲しくて選択肢を増やした。