「……そんなに紗夏の事しか見てない成瀬くんがどうしてまだ紗夏と付き合ってないのかなぁ?」 木下はにこりと笑顔ではいるが言葉尻から少しイラついているように感じた。 「………。」 なんとも返す言葉がなくて口を閉じた。 最初に高田に声をかけた時に気付いたが、高田は木下から話しを聞いていたようだ。 という事は、木下もまた誠と同じように気付いてても何も言えずに俺と紗夏を見ていたという事だ。 本当に俺は周りを見なさすぎるな。