「待って」
突然先生に手を掴まれ足止めを喰らう。
「なに、急いでるんだけど」
そう聞くと先生は曖昧に笑って私の手を引いて歩き出す。
そして職員室を出てすぐの所にある美術準備室に連れ込まれる。
「は?ちょっとなにしてんの、私コンクール前で忙しいんだって。
ねえ聞いてんの?」
先生は私の声を無視して椅子に座らせた。
先生は私の向こう側に座って
「ちょっと俺もう限界だから言うけどさ」
と切り出した。
「俺ら幼馴染なのになんでそんな他人行儀なの?」
さっきまでの真剣な表情とはうってかわって先生は目をきゅるるんとさせ首を傾げる。
そんな顔されたら他人行儀にはできないじゃ…いやそうじゃなくて!!
「………は?」
心の中で自分にツッコミを入れて一言で聞き返す。
「え?」
私の返答が予想外だったのか
先生は真顔に戻り腑抜けた声を漏らす。
「え、………は?」
状況についていけない私はその2音で感情を説明する。
先生は顔を赤らめてやっちまった…と顔を手で覆い尽くしてしまった。
「ん??」
もう1度聞き返すと先生はごほん、と咳払いして私を見た。



