「女の嫉妬は醜いものよ」
みのりは私が疲れて寝てるときに長田くんにそう言ってくれたみたい。
その一言で全てを悟った長田くんは私に
「1番近くで守らせて?」
と告白してくれた。
私たちが付き合ったのは1年の夏休み前だった。
「茜ちゃん、ごめんなさい」
夏休み明け、教室に入るとクラスの女の子たちが口を揃えて私に謝ってきた。
隣で机に突っ伏している長田くんを見ると目が合って、彼は小さく笑った。
「ありがとう」
口パクでそう伝えて女の子たちの話に耳を傾けた。
「大丈夫よ、そもそも言わなかった私が悪いのだから」
何度も謝るクラスメイトたちに罪悪感を覚え、急いで口走った。
「なにわともあれ仲直りでしょ?」
誰かが言ったその言葉で教室中が和やかな雰囲気に包まれた。
「そんな…」
先生は長田くんの話を聞いて信じられない、と頭を抱えその場に座り込んだ。
「茜コンテスト前なのでもう失礼しますね」
先生を見捨てるように長田くんは吐き捨てて私の手を引いて美術準備室を出た。



