「シャルロッテ嬢には淡い色が似合うな。デザインもよく似合っている」

 そんな風に今日届いたばかりのドレスを着た私を褒めてくれる。
 しかもとても嬉しそうに、柔らかな笑みを浮かべてだ。

 美しい公爵様にそんな表情を向けられて私は、トクトクと鼓動が早くなるのを感じた。

 「そうでしょう? シャルロッテは可愛いらしいデザインも綺麗なデザインも着こなせるのよ! ドレス選びが楽しくて仕方ないわ」

 そんなリリエラ様の言葉に頷きつつ、ハルバート様は言った。

 「では、私は今日届いたドレスに似合うお飾りを送らねばなりませんね。シャルロッテ嬢、明日は私に時間をくれませんか? 一緒に出掛けましょう」

 優しく甘さを隠さない表情でのお誘いだけれど、ここにあるドレスに似合うお飾りって結構な数になりませんか? 

 ドレス頼むときに既にいくつかリリエラ様が頼んでますよ? 

 ものすごく言いたくてパクパクと口を開きかけて止まるのは、そこに優しいながらも熱い瞳で私を見つめるハルバート様に気づいたから。

 そういえば、婚約したとはいえ一緒に出掛けたことはなかった。
 ハルバート様の気持ちを確かめるためにも、いい機会かもしれないと私は頷いて答えた。

 「はい。まだ王都をよく知りませんので、ご一緒できるのが楽しみです」

 そんな私の返事にハルバート様は、にこやかに頷いて明日のお出かけを執事のクリスに申し伝えたのだった。
 
 とりあえず、買われすぎにだけは注意しなければ……。

 華美ではなくシンプルで控えめな物、使いやすそうなお飾りを選ばせてもらおう。

 内心でそんなことを考えているうちに、とっぷりと夜を迎えて侯爵家のメイドたちにお世話されてあっという間に私のあてがわれたお部屋で就寝となりました。