「大毅、もう起きる時間だよ」


朝、優しい声色で起こされ目の前には顔の整った俺の恋人 中間蓮(なかまれん)が見える。


「もうそんな時間?」


眠気の残った頭で蓮を見つめるとチュッとおでこにキスを落として、そんな時間だよ って微笑みながら言われる。


部屋を出ていく後ろ姿を眺め、ぐっと腕を上に伸ばすとパキパキッと骨の音がした。


ベッドをおりて寝室を出ると朝食を机に並べる蓮におはようと挨拶される。


「おはようさん」


朝日に輝く眩しい恋人に心がほっこりとする。


「あ、大毅 体温測った?」

「まだやわ、おおきに」


俺には日課がある。

それも生まれた頃から欠かしたら命に関わるような

体温計を挟みながら席に着くと蓮におでこをそっと触られ、これとこれは熱いからもう少し待ってから食べてね なんて朝食の説明をされる。

ピピピと電子音がして体温を見れば36.8

ちょっと高いやんな…なんて思いながら、蓮に体温計を渡すと渋い顔をしてマネさんに連絡してくる。と呟いて部屋を出ていった。


俺は生まれつきの病気持ち。

病名は、【先天性無痛無汗症】

痛みを感じにくいって言うのが誰もが知ってる情報なんやろうけど、ほんまのところ痛みは全く感じれへんし、体温の調節も暑いとか寒いとかわからんから出来へん。
痛くないならいいじゃん。っていう軽い考え方じゃ死んでまうやばい病気。

それを初めに理解してくれたのが高校時代に出会った蓮やった。


電話から帰ってきた蓮はじゃあ食べようかと俺の頭をふわっと撫でて目の前に座った。




「今日ってラジオだけやったっけ?」

「そうだよ。そういえば、舘様がそろそろ大毅に会いたいって」

「舘?」

「うん。KILLER(キラー)のみんなが会いたいから代表して言っとくって言ってたよ」

「最近会えてへんなぁそういえば」


KILLERっていうのは6人組のダンスユニットで半端ないほどかっこええんやで

俺たちCoCoLoもお世話になっててライブなんかではバックダンサーについてもらっとるんよ

ちなみにもう1人俺たち8人と仲のいい若いアイドル君がおるんやけどそれはまた話そうかな


「蓮。今日もよろしく」

「ふふ、うんよろしくね大毅」


注意の必要な身体を2人で助け合って今日もお仕事頑張るで