蓮翔side

その日は、かりんさんとマネージャーさんに仕事のことで話があった。

SHINEの雑誌のおかげで、俺の知名度も上がり、順調に仕事の依頼が入ってきて、ますます忙しくなった。

この機会にかりんさんが関わるアプリを開発してはどうかと会社からの案が出た。

これから秋帆を振り向かせなきゃならないのに、何でよりによって、かりんさんと仕事しなきゃならないんだよ。

マジ勘弁。

でもここは仕事と割り切ってやらないといけない。

「颯哉、かりんさんの事務所とアポは取ったのか?」

「あぁ、マネージャーに連絡した。そうしたら、かなり喜んでいたよ。今、うちの会社とのコラボはかなり注目度が高いから、事務所側としても美味しい話だと思うよ」

「そうだな」

「今回はあまり乗り気じゃないな?いつもだったら必ず成功させようってやる気充分のお前がどうした?」

「あぁ、今回は厄介だ。かりんさんが何かとちょっかいを出してくる」

「いつものことだろ?お前目当てで近づく女性は、今までも沢山いた」

「今までは、上手く交わしていたけど、今回はできればかりんさんと2人きりにはなりたくない。秋帆に誤解されたくない」

「なるほど……。お前の気持ちは分かる。でも仕事だからなぁ」

「あぁ、分かってる」

「蓮翔、誤解を招かないように秋帆さんには、正直に話せよ。じゃないと今度こそ、手に入らなくなるぞ?」

「今までも手に入らなかったけどな」

「お前なぁ、何で恋愛になるとそんなに弱気なんだよ。仕事のように強気で行けよ」

「それが出来たら苦労しねぇよ」

颯哉が言ったように、仕事のことなら強気に勝負していける。

でも恋愛になると全然ダメだ。

特に秋帆となると話は別だ。

でも正直に話さないとアイツは鈍感すぎる。それに自分に自信が無い。
だから自分が美人ということも、モテるということもわかっていないから厄介だ。

「俺は何がしたいんだ?情けなさすぎる……」

イラついて、自分の頭をかいた。

この後、かりんさんの事務所に颯哉と向かった。

話は上手くまとまり、あとはうちの会社でアプリソフトを仕上げる。

あともう少しでこの仕事が終わる。それまでの辛抱だ。この仕事が終わったら、秋帆に思う存分アプローチできる。

打ち合わせが終わり、颯哉と会社へ戻ろうとしたが、かりんさんが一緒に食事をしたいと言い出し、さすがに2人だけで行くのは困るし、変なウワサを流されたらたまったもんじゃない。

かりんさんの事務所の近くでBBQができる店があるというので、そこにした。

颯哉と俺、かりんさんとマネージャーで向かうことにした。
そのお店は、持ち込みもOKなので食材を買い足そうってことになった。

かりんさんが俺と行きたいと言ったので、ウワサされたらかりんさんが困るでしょ?と、言ったのだが大丈夫というので仕方なく2人で買い出しに行った。