「いや、よくないから!
さっさと離してよ!」
「俺様はな、
めちゃくちゃその気なんだよ。
多分、あかりんもう帰ってるだろうし、
お前が代わりにあかりんになれ」
「いやー!」





っていうのが金曜の話。

あの後、花田くんとは音信不通。
そりゃあ、会ったこともないのに、
初回の約束すっぽかすとか論外だよなぁ。

あーあ、せっかく良さそうな人だったのに。
これも全部あいつのせい!


「それで、奈紗(なさ)ちゃんは、
その人とどうなったの?」

職場の食堂で、同期のかなっちにも
金曜の話を聞かせた。

「どうもなってない。
そのまま帰った」

かなっちはくりくりの目を
ぱちくりさせている。

「帰れたの?」
「うん。さすがに見ず知らずの女を
無理矢理襲ったら、それ犯罪だから」


あぁいう危ない男が、
世の中にはいるんだな。
気を付けよ。

なんて、思ってたら、
目の前を、その危ない男が横切ったから、
恐ろしいよね。

そう、金曜、私をラブホに連れ込んだ奴は、
同じ会社の人だったらしい。