「おぉ、志崎部長。
珍しいね、ここに来るなんて」


と言ったのは、うちの部長。

ちなみに、60過ぎたおじちゃん。


「えぇ。川村さんに用がありまして」

湊斗、王子様スマイルを振りまく。
わざとらしいわ、その笑顔。


「奈紗、何か手伝おうか?」
「えっ!?
いや、いい…」

手伝おうか?だって?!
何なの?!怖いんだけど!

あ、いや、王子様モードの湊斗なら
これが通常営業なのか。


やっぱり慣れてないから、
逆に怖い。
急いでここから去らねば!



「で?
何を企んでるわけ?」

オフィスのエントランスのドアから
外に出た瞬間、
湊斗の顔つきは俺様モードへ。


「あのな、ちょっとはときめけよな。
この俺様が、迎えに行ってやったんだぞ」