当時は正直にテスト結果を見せていた。

「おお、目標点数上回ったじゃん」

 反応は想像以上に薄いものだった。

 当時、少しがっかりしたのを今でも覚えている。でも63点を取れたのは紛れもなくZ先生のおかげだ。

 私は先生に感謝の気持ちを込めてお礼を言った。

「先生、今まで協力して下さって本当にありがとうございました。先生のおかげで初めて数学で30点以上取れました。」

「いえいえ」

 ペコリと頭を下げるZ先生の顔はほんの少しだけ嬉しそうに見えた。そんな彼の顔を見て、私は彼の喜ぶ顔を見るために数学をもっと頑張りたいと強く思う様になった。

「ただ、ケアレスミスをなくせば、70点言ったかもね」

少し、この言葉は私にとっては皮肉に聞こえたが、

「今度こそミスを減らします」と言い返した。

 その後、Z先生に解説をしてもらったが63点を取れた嬉しさですっかり浮かれ気分になっていた。

 この期末試験から私の数学に対する情熱は更に増していき、もうテスト期間でなくなったにも関わらず、毎日数学の教材を片手に勉強を始めたのである。