「何?お前ら咲季ちゃんを庇ってるつもりかよ?弱いくせにイキがってんじゃねぇよ」


「お前こそ少しは考えろよ脳筋野郎。そんなんだから周りに煙たがられるんだよ」



売り言葉に買い言葉。



まだ手を出さないだけマシだと思うけど相手の金田がいつキレるかわからない。



そんな状況でも相沢くんはスマホで何やら連絡しているようだ。




「てめぇ邪魔だな。咲季ちゃんを出せ」


「はいどうぞ、って出す訳ねぇだろ」


金田が再び私へとのばした腕を、上杉くんが片手でビシッと叩き落とす。



叩かれた腕が相当痛かったのか、金田の顔に苦悶の表情が見えた。



「お前………何かやってたのか?」


「いちいちてめぇの質問に答える義理ねぇよ」


「クソッ、咲季ちゃんっ!」



無理やり上杉くんを退かそうとして、上杉くんに掴みかかろうとするけどその手を上杉くんが先に掴んで捻りあげる。



「いい加減諦めろ。咲季はお前レベルの男が絡んでいいような女じゃねぇんだよ」


「痛っっ!知るかっ。咲季ちゃんは俺のだ!咲季っ!」



かなり痛いのか、捻りあげられてる金田の額には汗が滲んでいた。

それでも視線を私に向けて名を呼ぶ。

その目つきが私を拘束する。



過去の嫌な記憶が私の自由を奪う。