予想外の言葉が聞こえたからか、聞き間違いかと思ったのか、一瞬奇妙な間が空く。



けれどすぐに応えてくれた。


「俺も好きだよ」



抱きしめてくれた手が私を落ち着かせるかのように頭を撫でる。



………分かっていたはずだ。

この腕の中にはいつまでもいられない。



クリスマスは私も相沢くんも仕事だけどそんなの関係ない。

二人きりになれる時間はいつでもある。



だから。



残りの日を甘く過ごすか、素っ気なく過ごすかは私の行動次第だ。



私は相沢くんが好き。

嫌われたくない。



だから別れ話なんてきっと出来ない。



だから……。



卒業式後に相沢くんの前から消えよう。



密かにそう決意して
今は相沢くんの腕の中で甘えていたかった。