二人にとっては敬うべき相手の登場に、二人は同時に席を立ち、頭を下げて出迎える。

遅れて現れた相手…橘社長は、「堅苦しいのは無しっていつも言ってるだろ」と、二人に頭を上げさせ着席させた。



「そういや綾小路。菩提から聞いたんだが、先日の北桜学園の件では、倅が世話になった」

「いえいえー。こちらこそ多大なるご協力に感謝しております。…出来た息子さんたちです。お兄ちゃんの方からも情報たくさん頂きまして」

「そりゃあ、俺の可愛い息子だもん。上の方は喰えない息子だけどな?」

「…そんな親バカな社長。飲み物が来る前に話に入って大変申し訳ないんですが」



二人の間に割って入り、容赦なく質問を吹っ掛けようとするのは、音宮陰陽事務所代表の剣軌だった。



「は。いきなりだな?おまえ」

「…さっき、伶士くんに何か話を聞かれませんでしたか?」

「は…」



なぜそれを知ってる!



…と、ピンポイントで行動を見抜かれたことに、橘社長は心の中で叫んだ。