それから間もなく、忠晴が荷物を置いて退室する。

こうして、書斎の中は、俺と親父の二人きりとなった。



「…で、それ美味いのか?アロエ味?」

「うん、美味しいよ」

「…で、話って何だ?」



言葉が一緒、喉の奥で止まりそうになるが。

それをも飲み込んで、口を開く。



「…聞きたいことがあるんだけど」

「ほう?何が聞きたい」



…だけど、俺はまだ知らない。

これから、想像以上の事実が明らかになることを。




「…なずなのこと」

「なずな?あいつがどうした。…そういやおまえら、最近仲良くしてるみたいだな?」

「うん…」



パソコン作業を終えた親父は、息を吐きながら椅子に深く腰掛ける。

油断したその隙を、突くかのように。




「…なずなって、音宮のおじさんの娘なの?」